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体を壊して「辞める」…軽貨物ドライバーが体調不良で廃業する際の「超重要チェックリスト」と心構え

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軽貨物運送業に携わる皆さん、日々の運転、本当にお疲れ様です!

私たち軽貨物ドライバーにとって、体は何よりも大切な資本です。長時間運転したり、荷物の積み下ろしで体を酷使したりと、日々の業務は体に負担をかけます。どれだけ気をつけていても、年齢を重ねたり、予期せぬ病気や怪我に見舞われたりして、残念ながら「今の働き方を続けるのは難しくなった…」という状況が訪れる可能性はゼロではありません。

「もし、体を壊して運転できなくなったら…?」

「仕事を辞めざるを得なくなったら、どうすればいいの?」

「収入が途絶えたら、生活はどうなるの?」

「車や保険、税金はどうなるの?」

考え出すと、大きな不安に襲われるかもしれません。会社員のように、病気休暇制度や休職制度、失業保険といったセッーフティネットが充実しているわけではない私たち個人事業主にとって、体調不良による廃業は、仕事だけでなく、生活の基盤そのものが揺らぐ、非常に厳しい現実です。

しかし、そんな「もしも」の時も、パニックにならず、一つずつ冷静に手続きを進めるための知識があれば、混乱を最小限に抑え、将来への道を見つけやすくなります。体調不良という困難な状況に加え、手続きやお金の心配まで重なると、心身ともに疲弊してしまいます。

今回のブログでは、万が一、体調不良により軽貨物ドライバーという仕事を辞めざるを得なくなった場合に、どのような点に注意し、どのような手続きが必要になるのかを、項目ごとに分かりやすく解説します。これは、決してネガティブな話ではなく、プロの事業主として、そして一人の人間として、ご自身の「もしも」に備えるための、現実的で重要な準備です。体調不良という困難な状況を乗り越え、次のステップへ進むためのチェックリストとして、ぜひ役立ててください。

「体」という資本。もしもの時を考える大切さ

私たち軽貨物ドライバーは、文字通り自分の「体」を使って収入を得ています。長時間の運転、不規則な勤務時間、荷役作業による体への負担、精神的なストレス…これらは全て、体調を崩すリスクとなり得ます。

会社員であれば、病気で働けなくなった場合に、有給休暇を使えたり、傷病手当金を受け取れたり、休職制度を利用して回復を待ったり、退職後も雇用保険から失業給付を受け取れたりといった、収入がある程度保障されるセーフティネットがあります。しかし、私たち個人事業主には、そのような法的に保障されたセーフティネットは原則としてありません。仕事ができなくなった瞬間から、収入はゼロになります。

だからこそ、**「もし、体調不良で仕事ができなくなったら、どうなるのか?どうすればいいのか?」**を事前に考えておくことが、非常に重要なのです。これは、悲観的になるためではなく、最悪のシナウムを想定しておくことで、現実的な備え(貯金、保険、知識)を行い、いざという時に慌てず対処できるようにするためです。

「運転を続けるのは難しい」そう判断した時、まず最初にすべきこと

まず何よりも大切なのは、ご自身の体です。「あれ?なんか体の調子がおかしいな…」「運転するのが辛くなってきた…」と感じたら、無理をせず、すぐに以下の行動を取ってください。

  1. 最優先は自身の「体」。専門医の診断を受ける! 体の不調を感じたら、迷わず医療機関を受診し、専門医の診断を受けてください。正確な病状や、今後どの程度まで運転や作業ができるのか、回復の見込みはあるのかなどを把握することが、今後の判断の全てを決定づけます。医師からの助言を真剣に受け止めましょう。
  2. 「辞める」という決断の時期を見極める 医師からの診断や、ご自身の体調と相談して、「安全に軽貨物ドライバーの仕事を続けるのは難しい」と判断した場合、廃業という選択を検討する必要があります。これは非常に辛く、勇気のいる決断ですが、無理に仕事を続けることは、体調をさらに悪化させたり、事故を起こしたりするリスクを高めてしまいます。ご自身の体と、将来の生活を守るために、必要な決断を遅らせないことも重要です。
  3. 新規の仕事受付停止と、現在の業務の整理 廃業を決断した場合、あるいは業務の継続が難しくなったと判断した時点で、まず新しい仕事の依頼を受けるのを停止します。現在請けている業務については、ご自身の体調を最優先に考え、安全に完了できるか、期日までに納品できるかを判断します。もし安全な遂行が難しい場合は、速やかに依頼元(運送会社やプラットフォーム、直接契約しているお客様など)に連絡し、体調不良により業務継続が困難になった旨を正直に伝え、指示を仰ぎます。引き継ぎが必要な場合は、可能な範囲で協力します。

依頼元・プラットフォームへの連絡と契約終了手続き

業務継続が困難になった旨を、速やかにすべての依頼元に伝える必要があります。

  • 速やかな報告: 契約している運送会社、利用しているプラットフォーム、直接契約しているお客様など、すべての依頼元に対し、体調不良により業務を続けられなくなったことを速やかに、そして丁寧に連絡します。いつまで業務が可能か(可能であれば)、今後の業務についてはどうしてほしいか(引き継ぎなど)などを相談します。
  • 契約終了手続きの確認: 締結している業務委託契約書を確認し、契約解除に関する条項や、退会・解約の手続きについて確認します。通常、契約期間の途中で一方的に契約を解除する場合、契約内容によっては何らかの取り決め(違約金など)がある場合もあります。しかし、体調不良というやむを得ない事情の場合は、考慮してもらえる可能性もゼロではありませんので、正直に事情を説明し、相談することが大切です。(ただし、契約内容に拘束されます。)
  • 未払い報酬・未精算経費の確認: これまでの業務で発生している報酬で、まだ受け取っていないものがないか確認します。また、依頼元に立て替えてもらった経費など、未精算の経費がないかも確認し、清算方法を取り決めます。

最大の課題!「車両」をどうするか?売却?リース解約?

私たち軽貨物ドライバーにとって、車両は事業の根幹をなす資産(あるいは負債)です。廃業するにあたり、この車両をどうするかが大きな課題となります。

1.ご自身の所有車両の場合

  • 売却: 今後、事業でもプライベートでもその車両を使わないのであれば、売却を検討するのが一般的です。中古車買取業者に査定を依頼する、インターネットの一括査定サイトを利用する、個人間で売買するなどの方法があります。少しでも高く売却できれば、廃業後の生活資金の助けになります。車両を綺麗にしておく、メンテナンス記録を整理しておくなどが、査定額アップに繋がる可能性があります。
  • 車両ローンが残っている場合: 車両の売却代金でローンを完済できるか確認します。もし売却代金だけでは完済できない場合は、不足分を自己資金で補う必要があります。ローンの返済が難しくなった場合は、金融機関に早めに相談することが重要です。
  • 一時抹消登録・永久抹消登録: 車両をすぐに売却せず、一時的に使用を停止する場合や、廃車にする場合は、運輸支局で一時抹消登録または永久抹消登録の手続きを行います。これにより、自動車税などの課税を止めることができます。
  • 自家用への変更: 今後、事業では使わないけれど、自家用としてその車両を使い続けたい場合は、運輸支局で事業用登録(黄色ナンバー)を廃止し、自家用登録(黄色ナンバー)に戻す手続きを行います。
  • 車両保険: 事業用の任意保険は、廃業に伴い不要になりますので解約手続きを行います。保険の有効期間が残っていれば、払いすぎた分の保険料が返還される場合があります。もし自家用として車両を残すのであれば、自家用向けの任意保険に必ず加入し直してください。

2.リース車両の場合

  • 契約内容の確認: リース契約書を必ず確認し、中途解約に関する条項や、その場合の違約金について把握します。多くの場合、リース契約の途中で解約すると、残りのリース期間分の料金の一部、あるいは全額に近い違約金が発生します。
  • リース会社への相談: 体調不良で業務継続が困難になった旨をリース会社に伝え、解約について相談します。事情を考慮してもらえる可能性もゼロではありませんが、基本的には契約通りの違約金精算が必要となります。リース会社と話し合い、最適な解約方法や精算方法を取り決めます。
  • 車両の返却: リースの手続きに従い、車両をリース会社に返却します。車両の状態によっては、原状回復費用などを請求される場合もあります。

車両は大きな資産であり負債でもあるため、廃業時の対応が廃業後の生活資金に大きく影響します。契約内容をしっかり確認し、専門業者にも相談しながら、慎重に進めることが大切です。

お金の管理と「もしも」のセーフティネット(税金・保険・共済など)

体調不良で収入が途絶える中で、お金に関する手続きは非常に大きな負担となります。事前に知っておくことで、少しでも安心して対処できるようになります。

  • 収入の停止と生活資金の確保: 働くのを止めると、その日から収入は原則ゼロになります。日頃から、もしもの時のために生活費(目安として最低3ヶ月分、できれば半年~1年分)を貯めておくことの重要性を、改めて強く認識しましょう。廃業後の生活費の計画を立てる必要があります。
  • 医療費と健康保険: 治療にかかる費用が発生します。国民健康保険に加入していると思いますが、医療費の自己負担は通常3割です。高額な医療費がかかる場合は、「高額療養費制度」を活用できます。これは、医療費の自己負担額が、所得などに応じた一定の限度額を超えた場合に、超えた分の医療費が払い戻される制度です。入院などで医療費が高額になりそうな場合は、事前に「限度額適用認定証」を申請しておくと、病院での支払いが自己負担限度額までで済みます。市区町村の国民健康保険の窓口に相談してください。
  • 税金について:
    • 確定申告: 廃業した年の1月1日から廃業日までの収入と経費を計算し、翌年の確定申告期間に申告する必要があります。廃業するまでの経費はもちろん、車両を売却した際の売却益や売却損なども含めて正確に申告します。
    • 廃業届: 税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。これは、事業を廃止したことを税務署に知らせるための手続きです。これにより、税務署からの事業に関する問い合わせなどがなくなります。
  • 社会保険について:
    • 国民健康保険料・国民年金保険料: 事業を廃止しても、原則として国民健康保険料と国民年金保険料の支払い義務は継続します。収入がなくても支払いが発生するため、大きな負担となる可能性があります。
    • 国民健康保険料の減免制度: 廃業や所得が大幅に減少した場合、国民健康保険料の減免を受けられる制度があります。お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口に相談し、減免の要件に当てはまるか確認してください。
    • 国民年金保険料の免除・猶予制度: 国民年金保険料についても、所得が一定額以下になった場合などに、保険料の全額または一部が免除されたり、支払いが猶予されたりする制度があります。年金事務所に相談してください。
  • 小規模企業共済: もし個人事業主のための退職金制度である小規模企業共済に加入していれば、廃業時に共済金を受け取ることができます。掛け金は所得控除になっていたものです。これは「もしも」の時のための重要なセーフティネットとなります。(加入していた場合)
  • 国の支援制度: 体調不良による失業や生活困窮した場合に利用できる可能性のある公的な支援制度について、お住まいの市区町村の福祉担当窓口などに相談してみることも考えてみましょう。

心のケアも忘れずに。そして「次のステップ」へ向かうために

体調不良という困難に加え、廃業に伴う様々な手続きや経済的な不安は、精神的に非常に大きな負担となります。一人で全てを抱え込まず、心のケアも忘れずに行うことが大切です。

  • 自分を責めすぎない: 体調を崩してしまったこと、仕事を続けられなくなったことを、必要以上に自分を責めたり、能力がないと悲観したりしないでください。体あっての仕事です。回復に専念することが、あなた自身の、そして将来のあなたにとって最も大切なことです。
  • 誰かに相談する: 家族、友人、信頼できる人に今の状況や気持ちを話しましょう。一人で悩まず、誰かに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になります。
  • 専門家のサポート: 精神的な落ち込みが大きい場合や、どうにもならない不安がある場合は、医師やカウンセラーなど、心の専門家に相談することも考えてみましょう。
  • 公的機関の相談窓口を活用: 市区町村の福祉課、ハローワーク(もし回復後に求職活動する場合)など、様々な公的機関に相談窓口があります。利用できる制度や支援について情報収集することも大切です。

体調が回復し、次のステップに進む準備ができたら、無理のない範囲で将来の選択肢を考え始めましょう。回復の度合いに応じて、以前とは違う働き方(短時間勤務、他の職種)を探したり、体調に合った別の事業を始めたりと、様々な道があります。焦る必要はありません。まずは体をしっかりと治すことに専念してください。

まとめ:体という資本を大切に。もしもの時も、知識とサポートで乗り越える。

軽貨物運送業という仕事は、やりがいがある一方で、体への負担も少なくありません。もし体調不良により、やむを得ず廃業することになった場合、多くの手続きや経済的な課題に直面します。

しかし、今回のブログでご紹介したように、

  • 何よりもご自身の体調を最優先し、専門医の診断を受けること。
  • すべての依頼元に速やかに連絡し、契約終了の手続きを行うこと。
  • 所有車両の売却やリース車両の解約など、車両に関する手続きを慎重に行うこと。
  • 確定申告や廃業届の提出、国民健康保険料や国民年金保険料の減免・猶予制度の活用など、お金と公的手続きを正確に行うこと。
  • そして、精神的な負担を一人で抱え込まず、誰かに相談し、心のケアも大切にすること。

これらの知識と、頼れる機関(市区町村窓口、年金事務所、税務署、商工会議所など)のサポートを活用することで、困難な状況も乗り越えることができます。

私たち個人事業主にとって、体は文字通り「資本」です。日頃から体調管理に気を配り、無理のない働き方を心がけることが何よりも大切です。そして、もしもの時に備え、生活資金の準備や、廃業時の手続きに関する知識を少しでも持っておくことが、あなた自身と大切な方を守ることに繋がります。

体調不良という困難な状況も、適切な対応とサポートがあれば、必ず乗り越え、再び新しい一歩を踏み出すことができます。

皆さんの体がいつも健康でありますように。そして、もしもの時も、知識とサポートを力に、乗り越えられることを心から願っています。全国の軽貨物ドライバーの皆さん、ご安全に!

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