軽貨物運送業で黄色ナンバー(事業用ナンバー)を取得して開業するには、「許可」ではなく**「届出」**という比較的簡単な手続きが必要です。正式には「貨物軽自動車運送事業経営届出」といいます。
手続きの大まかな流れと必要なものは以下の通りです。
1.事業の準備
- 車両の確保: 軽貨物運送事業に使用する軽自動車(軽トラックや軽バンなど)を用意します。自身の車両でも、購入、リース、レンタルのいずれでも構いません。車両は貨物用の構造である必要があります。
- 営業所の設置: 事業の本拠地となる営業所を定めます。ご自宅を営業所とすることも可能ですが、固定の住所が必要です。
- 車庫の確保: 営業所に併設またはそこから直線距離で概ね2km以内の場所に、使用する全ての車両を収容できる車庫(駐車場)を確保します。月極駐車場などの契約が必要になります。使用権限を証明する書類(賃貸借契約書のコピーなど)が必要です。
- 運行管理体制: 事故防止などのため、適切な運行管理ができる体制を整える必要があります。特別な資格者は不要ですが、ドライバー自身がこれを担います。
- ドライバー: 有効な普通自動車運転免許が必要です。
2.運輸支局への届出
- 必要書類の作成:
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 事業用自動車等連絡書
- 運賃料金設定届出書
- 車庫を使用する権原を証する書面(賃貸借契約書のコピー、自己所有の場合は登記事項証明書など)
- 車庫の図面、営業所と車庫の位置関係図
- 車両の詳細(購入予定の場合は見積書、所有・リース済みの場合は車検証情報など)
- その他、様式類は管轄の運輸支局のウェブサイトでダウンロードできます。
- 書類の提出: 上記の書類を、営業所の所在地を管轄する地方運輸支局または運輸監理部に提出します。
- 書類の確認・受理: 書類に不備がなければ受理されます。この時点で法的な手続きは完了し、事業を開始できます。
3.黄色ナンバーへの変更
- 軽自動車検査協会での手続き: 運輸支局で受理された書類(事業用自動車等連絡書など)と、車両、車検証、印鑑などを持って、使用の本拠地を管轄する軽自動車検査協会に行きます。
- 事業用ナンバーへの変更登録: 貨物軽自動車運送事業に使用する車両として、黄色地の事業用ナンバープレートへの変更登録を行います。ここで新しい黄色ナンバープレートが交付されます。
4.事業開始
- 黄色ナンバープレートを車両に取り付ければ、晴れて貨物軽自動車運送事業者として業務を開始できます。
ポイント:
- 「許可」とは異なり、基準を満たしていれば基本的に受理される**「届出制」**です。
- 手続き自体は比較的シンプルですが、必要書類を正確に準備することが重要です。
- 詳細な手続きや必要書類の様式は、管轄の運輸支局によって若干異なる場合がありますので、事前に該当の運輸支局のウェブサイトを確認するか、電話で問い合わせることをお勧めします。
この手続きを経て、初めて他人から運賃を受け取って荷物を運ぶ事業を合法的に行うことができます。